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2021年光免疫療法の現状
光免疫療法は標準治療(手術、化学療法、放射線)または免疫療法に次ぐ第5の治療法として注目を集めています。手術などでは治療が困難な難治性再発頭頸部がんのみ保険適用となっており、「頭頸部イルミノックス治療」とも呼ばれています。その他の部位に関しては現状自由診療となっている状況であり、当院は後者に当たります。
一般的な光免疫療法の大まかなイメージ

まず原理的な説明をする前に、ここでは光免疫療法がどういったものなのかについて簡単に説明していきたいと思います。
ここでは、科学的というより光免疫療法の背景について大まかに述べていきたいと思います。
光免疫療法は、米国立がん研究所(NCI)の主任研究員である小林久隆先生によって開発された新しい治療で、『身体への負担を極限まで減らし、がんに効果をもたらす新たな治療法』として今最も注目されている治療方法です。(2011/11/19にて、ネイチャーメディスン誌上にて、光免疫療法の開発について発表されました。)
では、この治療方法の具体的な内容については、後述していきたいと思います。
光免疫療法の背景
近年より注目度が高まってきていますが、この治療法は2012年にアメリカの元大統領であるバラク・オバマ氏の一般教書演説(年頭施政方針演説)にて、「政府の研究機関から正常細胞を傷つけずにがん細胞だけを死滅させる、まったく新たな治療法が生まれた」と紹介しており、当時から非常に期待されていました。
光免疫療法における国内の動きとしては、2018年4月から国立がん研究センター東病院で頭頸部がんに対しての治験が開始されています。更に、2019年の米国臨床腫瘍学会では、第Ⅱa相臨床試験の結果として良好な安全性プロファイル及び臨床的意義のある抗がん効果を発表しています。
2020年9月には、光免疫療法で使用される新薬として『アキャルックス(R)点滴静注250mg(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム』について、日本が初めて薬事承認を取得し、大きく事業展開しています。
今後、光免疫療法の躍進により、がんを克服できるといった日が近づくことに大きく期待できるでしょう。

頭頸部イルミノックス治療とは
光免疫療法は、『がん細胞限定にくっつく抗体を利用し、この抗体へ近赤外線を照射することによって化学反応を引き起こす物質(IR700)を搭載して、静脈注射にて体内へ送り込む』といった仕組みです。
上記の抗体は、がん細胞の膜の表面に現れるタンパク質の抗原にしっかり付着するので、そこを目印にして近赤外線を照射すると中のIR700に化学反応が起こり、それによってがん細胞に傷をつけることができます。そしてその傷ついた場所へ外部から水の流入によって、がん細胞が膨張し、やがて容積的にも耐えられなくなって、風船の破裂ようにがん細胞が破壊されるという仕組みになっています。
因みに、細胞の部位や薬剤の影響等によって変動はありますが、一万程度の傷がつけば、がん細胞は破壊できることが分かっています。
要約すると、光免疫療法は、『細胞を包んでいる膜を化学物質の反応を利用して破り、細胞を破壊する』ことを選択的に行っている療法であるといえます。

当院の光免疫療法とは

昨今光免疫療法という言葉を耳にする機会も増加してきておりますが、光免疫療法による治療方法は一種類ではありません。
なぜなら「癌」と一言で言ってもすべてが同じ治療方法で行い、同じだけの結果が得られる訳ではないためです。
癌の種類やがん細胞の位置など、患者様によって状態は様々です。
この事から、当院では光免疫療法によるがん治療を行う上で「患者様の癌状態に応じて適切な治療方法を選定する事が望ましい」という答えに辿り着きました。
その為当院では、光免疫療法に使用する薬剤、機器、照射時間も患者様毎に選定調整する事により、患者様にとって最善な治療を目指しています。
Fig.1、Fig.2は光免疫療法の治療風景の一例です。
Fig.1は光免疫療法を導入している医療機関が一般的に導入している治療方法となります。
しかし患者様の状態に合わせてより効率的にがん細胞にアプローチするためには、当院オリジナルの治療法(Fig.2一例)も多数揃える必要があると考え、日々アップデートを繰り返しております。

当院では頭頸部以外にもおおよそ全身治療が可能な「光免疫療法」を採用しております。
当院で用いる光感受性物質は多種に渡り、その内の一つが残存肝機能を調べるための承認検査薬「ICG(インドシアニングリーン)」です。
これらの光感受性物質をリポソーム化(一般的に100nm程度の大きさ)し、EPR効果を利用する事で薬剤をがん細胞に集積させます。
リポソームは医療用色素とし、日本でも一般的に使われているものであり、EU各国(ドイツなど)の光免疫療法の臨床ではこちらを主に用いています。
その後、レーザー光線として様々な波長を有した機器から選定し24時間以降に照射します。
がん治療で様々な波長のレーザー光線を準備する目的としては、表皮から癌腫瘍までの距離が患者様によって異なるためです。つまり如何なるポイントにある癌腫瘍にもレーザー光線を十分に届かせる事が目的です。
その為、当院では頭頸部以外にも多岐に渡る部位を治療する事が可能です。
光感受性物質・EPRとは

特定の光を照射すると、光感受性物質は光反応により高エネルギーな状態となります。
光感受性物質は高エネルギーの状態から安定状態に戻る際に、活性酸素を生成します。
この活性酸素は癌細胞を破壊する性質がありますが、正常細胞は抗酸化酸素(オキシダーゼ)の作用により活性酸素を無毒化し破壊されません。
その為、がん細胞のみに作用させる事が可能になります。

がんの新生血管は不完全であり、図のように新生血管内に約200nmの隙間が存在するのに対し、正常な細胞は6nm~7nm程度の隙間が存在します。
その為、約100nmのリポソーム化した薬剤は正常な細胞には取り込まれず、新生血管から腫瘍の組織内に運ばれ、蓄積します。
これらの血管壁差を利用し、癌細胞へ効率的に薬剤を運ぶ特性DDS(ドラッグデリバリーシステム)をEPR効果と呼びます。
当院をご利用されている患者様

- ステージⅣの末期がん、難治性がんの患者様
- 副作用が少ないがん治療方法を望まれている患者様
- 標準治療と併用で治療をご希望されている患者様
- 緩和ケアを望まれている患者様
- 各所に転移が確認される患者様
- 再発防止を希望されている患者様
- 病院で標準治療が終わって何も治療方法のない患者様
- 何らかの治療をされたい患者様
当院の光免疫療法では上記の8項目でご相談を頂く事が多い傾向にあります。
現在がん治療または緩和ケアをご希望されている方はお気軽にご相談ください。
光免疫療法の流れ
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- STEP1 お問合せにてインフォームド・コンセントの来院日時を決定
- STEP2 ※1 問診及びインフォームド・コンセント。画像データ確認後、光免疫療法の治療効果の判断
- STEP3 光免疫の治療用薬剤および治療機器と照射時間の選定
- STEP4 治療時の血液検査を毎回実施
- STEP5 光免疫治療1日目は血液検査や薬剤の点滴30分程度 計1時間ぐらい目安
- STEP6 血管内治療と外部照射治療で1時間半~2時間
- STEP7 1クール6回治療後、2週間後に画像提携クリニックにてMRI
- STEP8 画像提携クリニックからMRI画像到着後(約1週間後)患者様に画像診断と治療効果説明
※1 現在掛かり付けの医療機関に来院されている場合は、画像データをご持参ください。
画像の用意が出来ない方は、当院の提携しているクリニックにてMRI画像を撮らせて頂きます。
当院のがん光免疫療法のメリット・デメリット
メリット
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- 頭頸部がん以外も、広範囲の部位に施術が可能です。
肺がん、胃がん、大腸がん、前立腺がん、膀胱がん、喉頭がん、咽頭がん、食道がん、肝がん、腎がん、膵臓がん、甲状腺がん、胆嚢・胆道がん、乳がん、卵巣がん、子宮体がん、子宮頸がん、皮膚がん、メラノーマ、腺がん、口腔がん、 など治療部位はおおよそ全身可能です。詳しくはお問合せください。
- 多くの癌腫、転移がんにも対応が可能な治療方法です。
- EPR効果を用いるため、がん細胞部へ選択的に薬剤の浸透・保持する事が可能(正常細胞への影響が少ないため副作用が少ない)
- 入院ではなく通院で治療を行う事が可能(週1回(2日)の治療)
- 標準治療や他の治療と併用が可能。現在治療中でも始めやすい。
- 進行がんの他に癌の再発予防(CTC除去)にも対応する事が可能。
デメリット(副作用)
- 通院ペースが週1回(2日)必要となる。
- 当院は自由診療であるため、全額自費診療となり、保険診療と比較すると治療費が高額になります。
効果や治療費用に関しては、ご納得いくまでご相談ください。
光免疫療法に頂くご質問
当院では、頭頚部がん、肺がん、胃がん、大腸がん、前立腺がん、膀胱がん、喉頭がん、咽頭がん、食道がん、肝がん、 腎がん、膵臓がん、甲状腺がん、胆嚢・胆道がん、乳がん、卵巣がん、子宮体がん、子宮頸がん、皮膚がん、メラノーマ、 腺がん、口腔がん、 など治療部位はおおよそ全身可能です。
薬剤投与6回、光の照射が6回の計12回治療となり、費用は税込330万円となります。
光免疫療法は標準治療と併用する事が可能なため、幅広い状態の方に適応可能です。 その為、現在の状態を確認させて頂くため、まずは当院にお問い合わせください。 受診の流れをご説明致します。
当院は自由診療でございます。 現在保険診療が対象な部位は頭頸部癌(局所再発・局所進行)のみが治験で対象となっております。
正常な血管壁は乱れなく緻密な状態ですが、がんの血管壁は塑像(そぞう)な状態となっています。 がん細胞は酸素を含む栄養を得て成長するために血管を新生させます。新生血管は正常血管と比較して不完全であり、 血管内皮細胞間に約200nmの隙間が存在しています(正常な細胞の場合6~7nm程度)。 その為、薬剤(数百nmのナノ粒子)は正常な血管には取り込まれずに、腫瘍の組織へ運ばれます。 この血管壁差を利用したドラッグデリバリーシステムをEPR効果(ノーベル賞候補の熊本大学名誉教授である前田浩博士による技術)といい、薬剤をがん細胞に定着し、 光を照射する事でがん細胞を攻撃します。
光免疫療法に使用する薬自体は細胞にダメージを与えるものではありません。 また使用するレーザー光も低出力の光線である事から熱さを感じる事もなく、レーザー光線が人体に影響を及ぼす心配はほぼないと言えます。 がん細胞に定着した薬剤にレーザー光が照射される事で初めて細胞にダメージを与える事が可能となります。 その為、薬剤に定着されたがん細胞のみを死滅させ、正常細胞はダメージを受けないという事になります。
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※休診日は変更になる場合もございます。休診日に関してはお返事出来かねますが、最短第一営業日にはお返事させて頂きます。
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送信後、メールが届かない場合は、お手数ですが、お電話にてご連絡お願い致します。
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コロナ対策に関して
当院は完全予約制及び完全個室であるため、他の患者様との濃厚接触はありません。
また院内の消毒や患者様及びクリニック関係者の体温測定も毎日行っており、リスク回避に努めております。
